オフィスカジュアルという言葉が浸透して久しいこの頃。特にコロナ禍以降、リモートワークの普及とともに仕事着と普段着の境も一層曖昧になりました。スーツにワイシャツというスタイルが廃れつつある中、革靴、特に内羽根ストレートチップなどのフォーマルなデザインのものの出番は少なくなっていくでしょう。
そうなると俄然気になるのが、ある程度カジュアルな服装にも合わせられる、守備範囲の広い革靴。
革靴界随一のオールラウンダーと言えば外羽根プレーントゥ。一足持っていれば間違いのない靴であることは、多くの方が認めるところでしょう。
しかし、いくら便利だからと言って外羽根プレーントゥばかりというのも面白くありません。足は2本しかありませんが、色々な革靴を履きたいと思うのが革靴好きという人種です。
そこで のすけ が提案したいのが、パンチドキャップトゥ。
のすけ が好きなだけという可能性も大ですが、パンチドキャップトゥは多くの可能性を秘めていると思うのです。
ドレスとカジュアルのバランス
革靴のドレッシーさ、カジュアルさというのは画一的なものではなく、ぼんやりとしたグラデーションを描いています。
グラデーションを彩る要素としては、革靴自体のデザイン、アッパーの色や素材、木型の形状、メダリオンやパーフォレーションといった装飾の有無や形状、その他諸々のディテールなどがあります。
例えば、下の画像で左側の右から2足目の靴。内羽根ストレートチップというフォーマルなデザインではありますが、ライトグレーのスエードに白いステッチでかなりカジュアルな印象。スーツよりはジャケパン、なんならシャツにデニムやショートパンツといった服装のほうが似合いそうです。
対して、右側の靴。デザインはカジュアル靴筆頭のローファーですが、黒のスムースレザー、フルサドル、ロングノーズのチゼルトゥと全体的にドレス寄りの雰囲気です。こんなローファーならスーツにも違和感なく合わせられるんじゃないでしょうか。むしろデニムとかカジュアルな服装に合わせると浮いちゃいそうな気がします。
つまり何が言いたいかというと、「○○だからフォーマル/カジュアルだ」という論にまどわされてはいけませんよ、ということです。
自分の主観を信じましょう。
パンチドキャップトゥとは?
続いてパンチドキャップトゥというものを改めて確認しましょう。
メーカー等によっても様々な区分があるようですが、当ブログではつま先の一文字にのみパーフォレーション(穴飾り)のついているものをパンチドキャップトゥとして定義します。
のすけ の所有している中だとKOKONの407が該当します。
有名どころだとエドワードグリーンのバークレーもそうですね。
ちなみに、つま先の切り替えし以外にもパーフォレーションが施されている↓画像のようなものは、クォーターブローグと当ブログでは定義します。
パンチドキャップトゥの立ち位置
一般的にパンチドキャップトゥは、ストレートチップに次いでフォーマルなデザインと言われます。
とは言え、穴飾りが施されることでやや華やかな印象になり、ビジネスの場においてはストレートチップよりも使い勝手がいいです。スリーピースでもジャケパンでもバチっとハマるので、ビジネスマン必携の一足と言えましょう。
「合わせられる」ではなく「ハマる」。ここ重要です。
ストレートチップだとフォーマルな印象も強くなるので、ジャケパンには少々合わせづらい気がしてます。特に夏場でジャケット羽織らない時には、靴だけ浮くような雰囲気になりそうです。
クォーターブローグまでいくと一気に華やかさが増すので、ビジネスシーンにおいてはパンチドキャップトゥほどの汎用性はありません。
というか、ここ最近思うことなんですが、クォーターブローグとかセミブローグって装飾多すぎて、カジュアルに合わせると逆に浮いちゃう気がしません?なんか「いかにも革靴です」という主張が強すぎて、チグハグな印象になる気がすんですよね。セミブローグ大好きなんですけどね。
少し脱線しましたが、パンチドキャップトゥはとにかくちょうどいいということだけ覚えて帰ってください。
続いて、外羽根と内羽根それぞれのドレス/カジュアルについて考えてみようと思います。
外羽根パンチドキャップトゥの場合
まずは外羽根から。
外羽根パンチドキャップトゥの名作と言えば、オールデンの56251と56201。
このデザインであればバーガンディの56201でもスーツに合わせられますが、ビジネスシーンでより汎用性が高いのはブラックの56251でしょう。
ラウンドトゥのややぽってりしたフォルムなのでカジュアルな印象もありますが、そんなところも古き良き革靴な雰囲気があってビジネスでもばっちりです。
スーツでもジャケパンでもクールビズでもなんでもござれの万能選手。言われなくたってビジネスシーンで間違いのない一足だということが分かります。
そんな56251ですが、カジュアルな服装にもばっちりハマります。
どうです?薄い色のデニムにもめちゃめちゃハマってません?
上にブレザー羽織ってアイビーっぽい雰囲気でもかっこいいですし、夏場はポロシャツなんか合わせちゃってもいいですね。
続いてサンクリスピンから。
こちらはクォーターブローグ(?)ですが、木型が完全にドレスなので明るいスエードでもビジネスで使えそうです。フランネルのスーツに合わせたり、茶系のスーツで色揃えてもキマりそうですね。
カジュアルでは、細身のデニムとタートルネックにジャケットやブルゾンとかの足元に持ってきたらかっこよさそうです。
ということで、外羽根の場合、よほどカジュアルに振り切ったモデルでない限りはドレスでもカジュアルでも問題なく履けるという結論に至りました。
内羽根パンチドキャップトゥの場合
続いて内羽根。
内羽根はフォーマル度の高いデザインなので、黒や濃茶はもちろん、キャメルのような明るい色やスエードなどのカジュアル感の強いアッパーでも、違和感なくビジネスシーンに溶け込めます。
こちらはVASSのクォーターブローグですが、ミュージアムカーフだと少し色気が出てめちゃめちゃかっこいいです。ミュージアムカーフ大好き。
ミュージアムカームで華やかな印象はあれどダークブラウンなので、ビジネスでは全く問題ないですね。
カジュアル使いはやや難易度高めですが、スラックスにブルゾンというスタイルであればばっちりハマります。秋冬であれば意外とコーディネートの幅は広いかもしれません。
お次は注目の国産ブランド、light bulb(ライトバルブ)から。
かなり明るめのブラウンですが、ドレスコードに厳しい職場でなければ全く違和感ないかと。ドレッシーな木型なので、むしろライトグレーやブルーのスーツにはバッチリハマるんじゃないでしょうか。
この靴はカジュアルでも使いやすそう。春先にデニムとシャツで合わせれば爽やか好青年の出来上がりです。ローファーの代わりくらいの心持で使えそうな気もします。
最後はブラックの内羽根パンチドキャップトゥ。いよいよ真打ち登場です。
ザ・ドレスなデザインではありますが、意外とカジュアルにも合わせられるんです。
こちらはHAN SHOEMAKERのトランクショーの時の写真ですが、デニムにブラックの内羽根パンチドキャップトゥ、めちゃくちゃかっこよくないですか?
これで上にジャケット羽織っても当然かっこいいですが、ワイシャツ一枚とかでも全然ありな気がします。浅履きの靴下で素足風にしてもいけそうですね。
結論、パンチドキャップトゥはカジュアルに履いてもかっこいい!
まとめ!
我ながら多少苦しいところもあったかなと自覚はしていますが、大筋としてはドレスにもカジュアルにも合わせられる、という結論に異論は無いものと思います。
異論は無いということでいいですね?
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