随分久しぶりの腕時計回です。
革靴ほどの情熱はありませんが、のすけ は腕時計も大好きなんで節目となるタイミングで買っていこうと心に決めていたんです。そして、今年4月にめでたく昇格となりましたので、その記念に念願のドレスウォッチを買ってやりました。
ジュエリーメーカーのクォーツモデルという王道からはかけ離れた位置にあるモデルですが、のすけ の心をとらえれ離さない大満足の一本です。
カルティエ サントスとは!
カルティエといえば、超有名ジュエリーブランドというイメージが一般的でしょう。「王の宝石商、宝石商の王(Jeweller of kings , king of jewellers)」とも称されるように、世界中の王侯貴族からも愛される、超名門ジュエラーです。
ジュエラーであるものの腕時計を語るうえで避けて通れないブランドであり、好事家からも一目置かれる非常に稀有なブランドです。そんな同社を代表する腕時計の一つが、今回のサントス。
サントスは元々、パイロットウォッチとして作成されました。きっかけは、貴族であり、発明家、飛行家でもあったアルベルト・サントス=デュモンのある願望でした。アルベルトは「飛行機の操縦中、操縦桿から手を放さずに時間を確認したい」と、彼の友人であった三代目ルイ=カルティエに相談します。当時は懐中時計が主流だったので、操縦中に懐から時計を取り出す、という行為は危険を伴います。
そうして1904年に生み出されたのが、依頼主の名前に由来するサントスという時計です。

腕時計の起源については諸説ありますが、サントスが”世界初の腕時計”とみる向きもあります。
当時、”懐中時計にベルトを付けて腕に巻く”という発想は比較的浸透していましたが、サントスは”腕に巻くための時計”として設計された最初の時計なのです。懐中時計にベルトを付けるだけに留まらず、”ラグを備えてベルトとケースを取り付ける”という現代まで受け継がれる”腕時計”のルーツを確立した、由緒あるモデルと言えましょう。
その後、1911年に一般向けにも販売され始めます。このころに、角に丸みを持たせた正方形のフェイス、ベゼルに8本のビス等の現代まで受け継がれるサントスのデザインコードが完成されます。

時代に合わせて何度かのモデルチェンジを経て、100年以上も愛されてきたサントスシリーズ。1970年以降はラグスポの台頭により、サントスもラグスポ方向へと舵を切っています。出自がパイロットウォッチということもあって、ラグスポとは相性のいいモデルですからね。

画像だと良さが伝わりづらいですが、現行のサントス ドゥ カルティエもなかなかかっこいいです。のすけ はヴィンテージのサントス ガルベとかもスッキリしたデザインで好きですよ。
さて、そんなラグスポ全盛の現代において2019年に発表されたのが、初代サントスのデザインを踏襲したサントス デュモン。激熱展開です。
サントス デュモン LM のレビュー!
まずは簡単にサントス デュモン LM(ref.WSSA0022)の紹介です。

- ムーブメント:クォーツ
- ケースサイズ:43.5 mm x 31.4 mm
- 厚さ :7.3 mm
- 防水性 :日常生活防水
- 素材 :ステンレススティール
- ストラップ :アリゲーター(ネイビーブルー)
基本的にはドレスウォッチのディテールを備えているのですが、どことなくスポーツウォッチを感じさせるデザイン。ウォッチメーカーではなく、ジュエラーのカルティエならではのデザインセンスに脱帽です。かっこよすぎる。
現行のサントス デュモンは、SM、LM、XLと3つのサイズで展開されており、SM、LMはクォーツ、XLは手巻のムーブメントが載ってます。
のすけ が選んだLMは真ん中のサイズにあたります。感覚的にはラウンドケースの38mm前後くらいのサイズ感です。他のサイズも試着しましたが、SMだと35mm、XLだと40mmオーバーくらいの感覚でした
ムーブメントにはカルティエが新開発したクォーツが使われています。好事家にはクォーツに見向きもしない方も多いと思いますが、こいつはちょいと違います。詳細は後ほど。
秀逸なデザイン!

上述の通り、サントス デュモンは初代サントスを踏襲し、ドレッシーさを強調したモデルになっています。シンプルで美しく、洗練されたクラシックなルックスは確かに初代サントスを彷彿とさせます。
丸みを持たせた角、8本のビス、ローマンインデックスは歴代サントスのデザインを踏襲したものです。100年経っても受け継がれるものがあるなんて、ロマンを感じますね。

7.3mmという薄さに、デイト無しの2針、シルバーの文字盤、細身のインデックスや針は、ドレスウォッチとして完璧な造形です。ただ、初代サントスよりも太く、立体的に成形されたベゼルがスポーティさを演出しています。

ドレスウォッチに終始せず、スポーツウォッチの印象をも与える、絶妙なデザインです。マジでかっこいい。

ドレッシーとスポーティが両立しているため、汎用性もめちゃめちゃ高そうです。スリーピースにオックスフォードのストレートチップというゴリゴリのフォーマルスタイルから、ジャケパンにUチップくらいのややカジュアルなスタイルまで、守備範囲はかなり広そう。どんな服装に合わせようか妄想が止まりませんね。

細部を見てみると、レイルウェイ ミニッツトラック、青焼きのバトン針、パール状の飾りがついたリューズにブルーカボション、シークレットサインといったカルティエ ウォッチのデザインコードもしっかりと受け継がれています。まさにザ・カルティエです。

また裏蓋にはアルベルト・サントス=デュモンのサインが刻まれています。のすけ の知る限り、サントスのサインが刻印されているのは、歴代のサントスシリーズでもデュモンのみ。原点回帰っぽい感じがしていいですね。

高寿命クォーツ!
このモデルにおける、次なる注目ポイントがリシュモングループ傘下のムーブメントメーカー、ヴァルフルリエと共同開発した新型クォーツムーブメント。

従来、カルティエではETA社のクォーツムーブメントが搭載されていました。ETA製のクォーツと言えば、いままであまりいい噂は聞いていませんでしたが、今回の自社製ムーブメントは中々期待できそうです。
新型クォーツムーブメント最大の特徴は、電池の寿命が約3年から7年へ大幅に伸びたこと。
クォーツに定評のあるグランドセイコーの電池寿命は約3年なので、他ブランドと比べても大きなアドバンテージじゃないでしょうか。さすがに精度は年差じゃないと思いますが。
またクォーツムーブメントの採用により、比較的手の届きやすい価格に抑えています。クォーツのLMと手巻きのXLの価格差は30万円ほど(2023年4月17日時点)。
好事家の中には、機械式でないと食指が動かない方も多いと思いますが、おそらく一般的にはクォーツの利便性が歓迎されるんじゃないのかと。のすけ みたいなにわか腕時計好きは、機械式の時計を何本も持つより、メインの機械式+クォーツくらいでいいんです。利便性的にもメンテナンスコスト的にも。
ちなみに、カルティエにおけるクォーツ時計のオーバーホールは、ムーブメントをそっくりそのまま交換するみたいです。ムーブメント自体がオーバーホールのたびに新品になることを考えると、他のクォーツ時計より長く使えそうです。しかも、電池寿命7年に対して、オーバーホールの推奨期間は5~6年とのことだったので、電池が切れるより先にムーブメントを交換することになります。なんて効率的。
サイズ感!
上述の通り、ケースサイズは43.5 mm x 31.4 mmとなっています。37mmのグランドセイコーと並べると、ほぼ同じようなサイズ感ですね。
腕周り16cmくらいの のすけ が着けるとこれくらいの雰囲気です。

腕幅にきちんと収まり、嫌味なく、さりげない上品さが出ています。
厚みも7.3mmとかなり薄く仕上がっているので、シャツの袖口にも干渉しません。
ケースサイズ、厚みともにドレスウォッチとしては完璧なサイジングですね。
手巻きもオススメ!
本筋からはズレますが、手巻ムーブメントを搭載したXLもオススメです。
サントスデュモンに搭載されている手巻ムーブメントは、キャリバー430MCというもの。この430MC、ピアジェのアルティプラノにも搭載されている、薄型手巻ムーブメントの名機Cal.430Pを改良したものです。つまり性能は折り紙付きということ。

厚みも7.5mmとクォーツのモデルと比べても、僅か0.2mmしか変わりません。ドレスウォッチとしては他ブランドに引けを足らない薄さです。
ここまではほぼ完璧なのですが、惜しむらくはXLのサイズ感。
のすけ も最後の最後まで、LMとXLで迷いましたが、XLはちょっと大きすぎるんですよね。おそらく一般的な日本人は、やや大きく感じるかと。個人の好みの問題でもあるかと思いますが。
のすけ の腕は平均的な日本人サイズですが、ドレスウォッチとしては迫力のあるサイズ感でした。ラウンドケースの時計に換算すると40mm超えるくらいの雰囲気です。
ただ、これくらいであれば常識的なサイズの範囲なので、XLという選択肢も全然ありだと思いますよ。サイズ以外のスペックはほんとに理想的なドレスウォッチですからね。
まとめ!

サントスシリーズの系譜を受け継ぎ、カルティエらしさが詰まったサントス デュモンのレビューでした。
ドレスウォッチではあるものの、スポーティな要素も両立しているため普段使いもバッチリです。ゴリゴリのドレスウォッチだとスーツ以外に合わせるのは難しそうですが、サントスであればシャツにジーンズくらいのラフな服装でもハマりそうです。
クォーツムーブメントという点で好事家受けするモデルではないかと思いますが、のすけ のようなライトな腕時計ファンにとっては魅力あふれるモデルだと思います。機械式じゃないんで、水回りもそこまで気を遣う必要ありませんしね。
ただ、それでもやっぱり機械式のカルティエも欲しいところ。狙い目はヴィンテージのサントスかタンクあたりですかね。他にもオススメありましたら、是非教えてください!
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